マニー・パッキャオ vs ジェフ・ホーン、観戦記|ボクシングWBO世界ウェルター級タイトルマッチ

2017年7月2日、オーストラリアのサンコープスタジアムにて開催された、WBO世界ウェルター級タイトルマッチ、マニー・パッキャオ vs ジェフ・ホーン

以下に、この試合についての感想を述べてみたいと思います。

フィリピンの英雄、マニー・パッキャオについては、今更紹介することもないでしょう。
ボクシングのメジャー世界タイトル6階級制覇を成し遂げ、数々のビッグマッチを勝ち抜いてきた、フロイド・メイウェザー・ジュニアと並ぶ、ボクシング界のスーパースターです。

対するジェフ・ホーンはオーストラリア出身のボクサー。
16勝0敗1分という無敗のボクサーですが、過去に「ビッグマッチ」と呼べるような試合を行った経験はありません。
ボクシングファンやスポーツメディアの中には、ホーンのような「無名」と呼ばざるを得ないボクサーと、レジェンド級のボクサーであるパッキャオの試合が組まれたことに対して、疑問を呈する向きも少なくないようです。

なお、両者のサイズと年齢については、次の通りです。

マニー・パッキャオ:
身長166cm、リーチ170cm、38歳。

ジェフ・ホーン:
身長175cm、リーチ172cm、29歳。

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パッキャオ vs ホーン、観戦記

パッキャオの試合においては、毎度の光景ではありますが・・・。
対戦相手との「フレームの違い」は、今回も顕著です。

パッキャオとホーンの身長差は約9cm
リング上での両者を見る限り、高さだけではなく、体の厚みに関しても、ホーンが大きく上回っているように感じます。

試合序盤。
ホーンはその体格差を活かして、パッキャオに圧力をかけます。
ガードをがっちりと固めるスタイルではありません。
拳を少し下げた、パンチに勢いと角度をつけやすい構えから、アグレッシブに攻撃を仕掛けていきます

そんなホーンに対して、パッキャオは少々、攻めあぐねる様子を見せます。

全盛期は、縦横無尽にフットワークを駆使して相手の死角に回り込み、果敢にワンツーあるいはダイレクトの左ストレートを仕掛けていく戦法を得意としていたパッキャオ。
しかしこの試合でのパッキャオには、相手の死角に回り込めるほどのフットワークの鋭さは見られませんでした。

時折、「さすがはパッキャオ」と思わせるような、目にも止まらぬ速さの左ストレートを放ちますが、死角からのパンチではないため、ホーンの勢いを寸断することができません。

試合前半は、ホーン優勢。
ホーンの圧力を前にして、パッキャオが後手を踏む展開が続きます。

しかし第7ラウンドに入ったあたりから、「このままではジリ貧」と踏んだか、パッキャオがギアを上げます。
フットワークのリズムが細かくなり、手数が増えていきます。
ホーンのスタミナの消耗も相まって、試合展開が変化していく兆しがあらわれます。

そして第9ラウンド、ついにパッキャオがホーンを捕まえます。
パッキャオの左ストレートが、ホーンの左顎に炸裂。
ホーンは一気に失速します。

ホーンが効いたと見るや、すぐさまトップギアに入れ、追撃するパッキャオ。
後退するホーンを追って、左右のパンチをねじこんでいきます。

ここにきて、ホーンは完全にグロッキー。
足が利いておらず、反撃の態勢を整えることもできません。
クリンチを駆使して、このラウンドをなんとか凌ぎ切ります。

もはやレフェリー・ストップも時間の問題か、と思われた第10ラウンド。
なんと、ホーンはインターバルで体力の回復に成功。
再び前へ出て圧力をかけ、パッキャオの追撃を見事に阻止します。

しかし、「回復した」とはいっても、完全にダメージが抜けるはずもありません。
もう一撃クリーンヒットを食らえば、ホーンが再びグロッキー状態に陥る気配は濃厚です。

逃げ切りたいホーンは、「打ち逃げ」を多用し始めます。
ガードの上からでも右ストレートを浴びせて、そのままクリンチに移行し、もつれ合いつつ時間を消費していく戦法です。

パッキャオはフットワークで、ホーンの打ち逃げの仕掛けをいなしたいところですが、さすがに38歳のベテランファイターに、試合後半でそれができるほどのスタミナは残っていません。

10,11,12ラウンドと、互いに決定的な有効打を当てることができないまま、試合終了。

判定の結果は・・・

3-0のユナニマス・ディシジョンにより・・・

勝者、ジェフ・ホーン!

オーストラリアの「無名」ボクサーが、大金星を上げた格好となりました。

ちなみに、スコアカードは次の通りです。

  • 117-111
  • 115-113
  • 115-113

振り返ってみると、どちらを優位とするか難しいラウンドが多かったですが・・・
全体的に見れば、ホーンが体格差を活かして試合を優勢に進めたと感じられます。
判定は妥当と言えるでしょう。

あとがき

前述のように、全盛期のパッキャオは、フットワークを駆使して相手の死角に回り込む戦法を軸としていました。
これこそが、体格差のある相手に対しても、パッキャオが遅れをとることなく立ち回れた最大の要因と言えるでしょう。

その戦法を支えていたものは、超人的なクイックネスです。
しかしその能力は現在、全盛期と比べて大きく低下していると言わざるを得ません。
今回の試合でも、ホーンの死角に回り込めず、先手を取ることができなかった点が、主な敗因として挙げられるでしょう。

恐らく、戦術やトレーニングの変更で改善する問題ではありません。
パッキャオ陣営は再戦オプションを持っているとのことですので、ホーンとの再戦が実施される可能性は低くないようですが・・・
再戦するとしても、パッキャオにとって決して楽な試合とはならないでしょう。

メイウェザーとの再戦も視野に入れていると噂されるパッキャオ。
まずはホーンとの再戦で、この試合の雪辱を果たすことが最優先事項となるでしょうか。

パッキャオのトレーナー、フレディ・ローチ氏が、パッキャオに引退勧告をするという話も持ち上がっています。
「フィリピンの英雄」の今後の動向に、注目が集まります。

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